
クリスマスの翌日、一路北海道へ。つい先日訪れたの沖縄の余韻もあり、千歳
空港に到着しても北国に着いた実感がなかったのですが、それもつかの間。
一歩建物の外に出れば大雪と氷点下の空気で道もカチカチ。アイススケートの
ようにつるつるとすべりながら歩けば、ここはまさに北国!しっかり冬の北海
道を満喫した二日間ですが、最終日に旅のメインイベントが待っていました。
それは…憧れの寝台列車、トワイライトエクスプレスへの乗車!この度、私の
たっての希望でようやく乗ることができました。札幌から京都まで24時間。
夜汽車に乗って旅をしめくくることができるなんて、我ながらロマンに溢れる
最高のプランです。
深緑が印象的な車体に今は珍しい食堂車もついています。車窓から見える風景
は進むごとに変わり、一瞬足りとも目を離せません。
夕暮れに紅く染まる雪原、真夜中に仄かにともる駅舎の灯り。出口の見えない
深い森、荒ぶる日本海。まるで夢の中のような風景を背に、列車は夜の闇をす
りぬけて、森や海の間を木枯らしのように走って行くのでした。
日が昇る少し前、ふっと目の前になにも見えない場所が広がりました。灯りも
音もなにもなく、ただ気配だけが支配しているような不思議な場所。古い神話
やおとぎ話はきっとぜんぶ本当の話だったのかもと、すいこまれそうな深い闇
に思わず息をのみ、考えてしまうのでした。大昔に誰かが暮らした土地、今も
誰かが暮らす土地。私の知らない土地と暮らしが確かにそこにあるのだと、当
たり前だけれど、忘れてはならない大切なことを強く実感した旅でした。

京都で列車を降り、終着駅の大阪に向かう列車と車掌さんにありがとうと告げ
て、その姿が見えなくなるまでお見送り。札幌から京都、約1500キロの旅は
私に大きな感動を残し、幕を閉じました。
24時間飽きることなく車窓を見つめていた私。寝不足で翌日は使いものになら
なかったことは、言うまでもありません。
