

九州の旅、いよいよ最終目的地の由布院へ。
由布院駅を出てすぐ目の前に広がる由布岳の姿には、しばし息をのむほど
圧倒的な存在感が漂っています。町のどこにいても由布岳の姿を見ること
ができ、まさに町の守り神。旅から帰ってきた今も、まだ私の目の中のど
こかに、由布岳があるような不思議な感覚があります。
山は地方によってそれぞれの雰囲気を持っていて、その違いを知るのも私
の旅の楽しみのひとつです。今回の旅でも九州の山の力強さをしっかりと
刻みました。
翌朝は早起きをして、お宿の近くの金鱗湖まで早朝散歩にでました。
歩いてまもなくたどり着いた金鱗湖は、朝のきりりとした冷たい空気を湖
面にあつめ、霧をまとい凛とした佇まい。草のかげからひょっこり顔を出
したつがいの鳥たちが、一瞬の間をおいて颯爽と湖畔を飛び去る姿がとて
も格好よく、風と草がすれる音と鱗のように細かく光る湖面の模様と相ま
って、印象的な美しい朝をむかえることに。
午後は由布院バーガーを食べ、急ぎ足でノーマン・ロックウェル美術館へ。
帰りの列車の時刻がせまっていたので短い時間でしたが、ユーモラスな
名物館長さんのお話を聞き、またの再会を約束したのでした。
由布院駅から久留米駅までは私の憧れの列車、ゆふいんの森号で。
眠ることなくずっと見ていた車窓の風景。山にゆっくり沈む夕日を、風に
揺られる田園を、小さな踏切で手をふるこどもの笑顔を、私はきっとこの
先もときどき思い出すのでしょう。
