
ごぶさたしています。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
日誌の更新がずっと滞っていて、ここをひらくとまさに浦島太郎状態。
その間も、アトリエまつげのふたりは日々、食べ、寝て、はたらき、
絵を描いて、電車に乗って、北へ南へと旅に出ていました。
気がつけばもう晩秋です。
私は金木犀の花の香りが大好きで、町にその甘い香りが漂うと、胸が
きゅっとしめつけられるような不思議な感覚になります。
心身ともにくたくたになるまで会社で働いていた頃、通勤途中でみつ
けた金木犀の花の小さな枝をペットボトルのふたに張った水に入れて、
デスクの隅に置き、作業をしていたことがありました。
殺伐とした空気が少しだけ和らぐようで、とても私は気に入っていた
のですが、慌ただしさに埋もれるように、誰かが私のデスクに投げた
資料の下で、すぐにくしゃりと押しつぶされてしまいました。
その花の姿が当時の情けない自分の姿と重なって、人知れず落ち込ん
だものです。
人に寄り添ってデザインをする、という強い理想を持っていたからで
しょうか。自分のしていることが、ほんの小さな花を愛でることさえ
許されない仕事なのかと思うと、とても悔しくて、こっそり非常階段
で泣きました。
今も秋になると胸がきゅっとなるのは、あの頃のつらい気持ちを思い
出すから、なのかもしれません。
京都で暮らすようになり、金木犀の香りが東京のそれより何倍も強い
ことに最初は驚きました。どこか野性的で、秋を濃縮したような複雑
な香り。京都の植物はとても強いのです。
Tae.
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