
昨年の秋に旅した南九州、鹿児島での思い出ばなしのつづきです。
旅の初日のミッションであった特急きりしま、指宿の玉手箱、指宿枕
崎線(旧なのはなDX)を無事に乗り終え、あとは宿でゆっくり…と、
いきたいところですが、やはりじっとしてはいられず、夜の街へ。
私は地方の商店街、とりわけアーケードが大好きで、旅先や出張では
必ず時間を作って立ち寄ります。商店街を歩くだけでその土地の雰囲
気を感じられるし、土地のものを買うのにもとても便利。私の旅の思
い出はいつも商店街でのできごとが印象深いので、きっとなにか引力
があるのでしょう。

鹿児島の商店街といえば、やはり天文館。すっかり日が暮れていまし
たが、晩ご飯を食べられるお店を探しつつ、ぶらぶら天文館散策へ。
せっかく鹿児島に来たのだから、薩摩料理をと、あちこち歩いて見つ
けた薩摩の伝統料理屋にこの日は決まりました。
薩摩の焼酎を片手に、さつま揚げやきびなごのお刺身、黒豚の角煮や
地鶏を使った鶏飯など、薩摩料理を隅々まで味わうことができました。
九州はなにをいただいても美味しいのですが、ここで食べた、揚げた
てのさつま揚げはとくに美味しかったです。お店の方のお話によると、
鹿児島の家庭ではさつま揚げは手作りで、揚げたてを食べるのだそう。
おうちの味がそれぞれあるそうで、なんとも興味がそそられます。


食事のあとは、まっすぐに天文館むじゃきへむかうことに。
そう、今回の鹿児島の旅では絶対に達成しようと心に決めていました。
鹿児島名物のしろくまを、本場鹿児島で食べること!
しろくまは氷の上に練乳とたくさんの果物をのせた、鹿児島のかき氷
のこと。今はカップ入りやアイスキャンデーになって全国で買えるよ
うになりました。私も夏になると京都で買って食べていたのですが、
そのたびに鹿児島のしろくまはきっと、いや、絶対にもっと美味しい
はず、と思っていたのです。
やっと叶えられた長年の夢。それも本家むじゃきで!と、鹿児島の方
に言うと笑われそうですが、本当に感動の瞬間でした。
お店の前に鎮座している大きなしろくまの手に握られたカード、
「やっと、逢えたね」の文字がまるで私に話しかけているよう…。
お店に入ると、夜の8時を過ぎているというのにたくさんのお客さん。
私たちのような観光客ももちろんですが、よく見ると会社帰りのおじ
さまたちや年配のご夫婦まで。きっと地元でもしっかり愛されている
のでしょう。みなさん美味しそうにめしあがっていました。
私たちもようやく空いた席で待つこと数分。想像以上に大きいしろく
まの登場に一瞬たじろぎましたが、ここはふたりでせっせとスプーン
を動かし、あっというまに完食!



ふたりでひとつで十分、満足です。そのビジュアルとは裏腹に、本家
しろくまはさっぱりとしたお味。練乳も甘すぎず、すっきりとしてい
て全然もたれることはありません。なにより、氷そのものが美味しい
ことには驚きです。口にいれるとふわふわと軽やかで、氷というより、
まるで雪を食べているかのよう。たっぷりあった果物もやわらかな氷
とともににぺろりでした。
ほんとうに会えてよかったね、とおもてのしろくまをなでて、宿に戻
ることに。大満足の商店街めぐりとなりました。
ふと、鹿児島についてから電車に乗ってばかりで、桜島をまだ見てい
ないことに気がつきました。その桜島との奇跡の対面が翌日に待って
いたのですが、このお話しは、またこんど。
Tae.