
ごぶさたしております。アトリエまつげです。
長らく日誌の更新が滞っていましたが、私たちは変わらず毎日を元気
に過ごしています。みなさま、いかがおすごしですか。
さて、この日誌、日々の制作や展覧会などの様子をお伝えできたらと
思い、始めたものですが、WEBへのアクセスをチェックしてみると、
意外にも私の列車や電車の旅の記録に関心を示して、この日誌を見る
方も多いようです。やっぱりいるのですね、列車旅が好きな人!
ということで、今回も、私たちが昨年の晩夏に訪れた宮崎・鹿児島、
まさかの三年連続での九州、列車の旅について書きたいと思います。



夏の終わりなのに、まだ真夏の暑さを残す南九州、宮崎・鹿児島へ。
今回の旅もやはり、長距離鉄道大移動の旅です。
訪れる度に乗りたい列車が増えていく九州。私の心を掴んで離さない
魅力の宝庫、それが九州の鉄道!!
とくに今回乗車した特急海幸山幸は、以前から南宮崎の海岸線を走る
日南線に興味津々だった私の憧れの列車です。
JR宮崎駅と南郷駅間を走る特急海幸山幸は、その名の通り、宮崎の
山間と海岸線の魅力を一度に味わえる人気の観光列車なのですが、
一日一往復、それも土日祝日のみの運行と乗車へのハードルは高め。
私たちもこの列車への乗車に合わせ、旅の日程を組み直したほどです。
朝10時にJR宮崎駅を出発した列車は途中、青島や飫肥、油津などの
景勝地を経由して、約一時間半かけて終点の南郷駅に到着します。
青島では鬼の洗濯板、南郷近くでは七ツ八重と見どころに合わせて
徐行運転をしてくれるので、ゆっくり景色を楽しめました。
私はここ数年、南九州を列車で旅する度に車窓の風景に目を奪われ
てきましたが、日南線もやはりそう。
見れば見るほど、海の色や浜の形、そこに生えている木や花の姿が
まるで外国のそれのようで、とても不思議な感覚になるのでした。
私の故郷の海岸とも、北の列車の車窓から見た日本海ともまるで違
うのがほんとうに不思議。景色をじっと眺めながら、日本は魅力的
だなあと、しみじみ思うのです。


列車の旅は時間も費用もかかり、効率はすこぶる悪いのですが、時間
と手間をかけないと得られないものや、見られない風景がやはりそこ
にはあるようです。私はなぜかそういうものに惹かれてしまい、いつ
までたっても、合理的に旅が進められません。
さて、南郷駅で下車し、向かったのは目井津港。せっかく目井津港に
来たのだから、と息巻いて新鮮な魚を食べられる食堂に入ったものの、
次の目的地の鹿児島方面への電車の出発時間がせまっていて、ゆっくり
食事どころじゃない!と、毎度恒例のドタバタ劇を繰り広げる私たち。
そんな私たちの姿をみた食堂のおばちゃんたちがとても親切に世話を
焼いてくれて、大急ぎで定食を用意してくれたり、駅までのタクシーを
呼んでくれたりと、とても良くしてくれました。
ああ、こころあたたかき目井津港。
南郷駅からは普通の日南線に乗り、南宮崎駅まで戻ることに。
特急列車と違い、乗車する日常の地元の人の様子を見られるのも、その
魅力です。この日も途中でたくさん地元の高校生たちが乗ってきました。
日焼けした肌と眼差しの強い目がとても印象的。
そういえば、旅を振り返ってみると、宮崎で見かけた少年少女には瞳の
澄んだきれいな目をもつ子が多かったような気がします。
なぜだろう。
列車に揺られ、眠気まじりのあたまでぼんやりと考えながら、窓の外
の青い海を見ていたら、ふと、その答えが見つかりそうな気がしました。

Tae.